イタリアに行くため、成田空港に向かった。旅行の目的はトリノの教会で１０年ぶりに公開する

キリストの聖骸布をみるためである。

ただ、せっかくイタリアに行くので、それだけでは勿体ないだろうと思い、ミラノ、ヴェネツィア、

ピサ、フィレンツェ、ローマなどを巡ろうと考えた。旅程は８日間。かなりの強行旅行になりそう

だ。旅費はかなり節約することにした。イタリアへの直行便だと、

かなり高いので、一旦、ドバイを経由して行くことにした。

航空会社はエミレーツ航空。機内は英語とアラビア語が飛び交っている。

ヨーロッパ系のビジネスマンやイスラームの白い服を着ているひとが大半だった。

そんな中、私の隣に座ったのは日本人の男性だった。

「これどうぞ」飴を差し出すと「ありがとうございます」と嬉しそうに受け取った。

このさりげない心遣いがお互いの距離を縮める。

その後、隣の日本人男性は色々と話しかけてきた。

これから数億円の商談をするためにドバイに行くこと、月に数回はドバイに行っていること、

ドバイ空港の宝くじはかなりの高確率でＢＭＷが当たる、アラビア人は約束を守らない、など

興味深い話を聞くことができた。

さすが、世界を飛び回っているビジネスマン！

話が面白い！

そんな話をしつつ、いつの間にか眠りについた。

１２時間後、ドバイ空港に到着した。

空港内は噴水があるし、広くて綺麗だった。

おっ、ＢＭＷだ！

本当に空港の中にあったので驚いた。

次の搭乗時間まで５時間ある。

暇だし、チャレンジしてみるか。

早速、日本円で３０００円分の宝くじを購入した。

日本と比べるとかなり高い。

その分、当たる確率も高いのだろう。

発表は後ほどハガキで知らせるそうだ。

数週間後、英語で書かれたみなれないハガキがポストに入っていた。

ああ、そういえば…

イタリア旅行も無事終え、宝くじのことはすっかり忘れていた。

当選おめでとう！と英語で書かれていた。

「おっしゃ！ＢＭＷ当たったぜ！」

頭の中にはＢＭＷしかなかったので、

他に景品があるのか想像していなかった。

景品の欄をみると…

「ＳＵＲＵＭＥ」

と書かれていた。

ＳＵＲＵＭＥ？スルメ、イカのこと？

そう、世界有数の空港の宝くじで、

ＢＭＷを夢見て、

最も高確率で当たるといわれて、

３０００円を出して

購入して、

当たったのは…

日本製のスルメだった。